「お嬢さんを俺にください!」


「優里愛!」



その声に
レーニャの手が俺から離れた



「陽介…」



一気に熱が冷める



レーニャとスタンドに来た高級車から
男性が出てきた



レーニャの婚約者



「優里愛、電話しても出ないから
お母さんに電話したら
友達のところに行ってるって…
友達って、彼のこと?」



「こんばんは
今、駅まで送るところで…
遅くなってスミマセン」



「優里愛、帰ろうか」



男性は俺を無視して
レーニャの腕を掴んだ


いつも赤くなってるところ



「電車で帰る」



「明日から学校だし、車で送るよ」



「いい
ユーヤが駅まで送ってくれるから…」



「優里愛!」



レーニャの腕が強く握られた



「レーニャ、車で帰りなよ」



レーニャを車の方に促した


ホントは
俺もレーニャとまだいたかった



「でも…」



「せっかく迎えに来てくれたんだし…」



悔しいけど
レーニャはこの人の隣が似合ってる



「優里愛、行こう」



「レーニャ、心配してるよ」



「うん…」



レーニャのこと
心配なのかもしれないけど…


レーニャは強く掴まれたまま
車に乗せられた


俺のせい?
そう思ったら胸が痛くなった



「あの…
今日は遅くなってスミマセン
ひとつお願いがあるんですが…」



レーニャが車に乗ってから
男性に声を掛けた



「なにかな?」



「手、もっと優しく繋いであげてください
そこ、いつも赤くなってます」



チッ…



男性は舌打ちして俺を無視した



「ユーヤ…」



車の窓から顔を出したレーニャは
不安そうな顔をしてた



「レーニャ、おやすみ」



またね…とは
俺からは言えない



レーニャが来なくなったら
それで終わり



俺とレーニャは
その程度しかない



結局、敵わない



婚約者っていう肩書き



レーニャのささやかな夢も
叶えられない