「お嬢さんを俺にください!」


フローリングに寝そべった



「ユーヤに嫌われたかな…?って
ちょっと不安になった」



暗い部屋にレーニャの声が響いた



「え!そんなこと…

そんなことないけど…
ちょっと、いろいろ考えた」



「いろいろって?」



「いろいろ…
レーニャは心配しなくていいよ
やっぱりレーニャが好きだなって
思っただけ」



結局ちゃんとした答えは出なくて
「好き」しかなかった



「ハハ…嬉しい
私もいろいろ考えた」



「いろいろって?」



「ん?夢…そぉ、夢!
私にも夢できた」



「レーニャの夢?」



「うん
ユーヤと、デートすること」



「俺と?デート?」



「うん…ユーヤとデートしたい
それが私の夢」



「そんな、大袈裟じゃね?」



「大袈裟じゃないよ
考えるとワクワクして、ドキドキした」



「レーニャ、そんなこと考えてたの?」



「うん、ハハ…恥ずかしい」



レーニャの顔は見えなかったけど
笑い声が愛おしいと思った


近くに行きたいと思った



「ユーヤはデートしたことある?
どんなデート?」



「あるけど…
どんな…?
俺、今まで結構デート失敗してるかも…」



「え?失敗?」



「うん…
一緒に映画観に行った時は
張り切ってポップコーン買って食べてたら
映画終わってから
うるさくて集中できなかった!って
彼女に怒られたし…」



こんな話、していいのかな?


レーニャ幻滅しない?



「ハハハ…
私もポップコーン一緒に食べたい!
デートって映画の内容より
彼とどれだけ楽しめるかが重要だと思わない?」



「あー、そーゆー考え方もあるね」



マイナスにはなってなさそう



「私は…
ユーヤと一緒にポップコーン食べて
ユーヤのコーラも少しちょうだい
私のカフェラテも少しあげるから…って
耳元で小声で言って
きっとドキドキして映画の内容なんて
ぜんぜん入ってこなくて
ポップコーン食べ終わったら
ユーヤがそっと私の手を繋ぐの」



レーニャの妄想を聞いてるだけで
顔がニヤける



床で寝てよかった

部屋が暗くてよかった



「あ、ごめん…
俺、映画の途中で寝ちゃって
それで怒られたこともあるから…」



「ハハハ…じゃあ、私から手を繋ぐね
あ、ユーヤ水族館デートしたことある?」



「水族館はないな…
楽しそうだね」



「水槽のトンネルで一緒に写真を撮って
イルカショーで水しぶきがかかったり
絶対楽しいよね!
花火大会も行きたいな…」



「俺、車乗れないから
暑いところで見なきゃだけどね」



「うん
手を繋いで一緒に歩きたいから大丈夫だよ
ユーヤも浴衣着てほしいな」



「俺も?」



「うん、絶対似合うから…
ユーヤは?
ユーヤはデートしてみたいところ、ある?」



「え…俺は…」



現実考えて
俺とレーニャがデートする日はくるのかな?


それは
楽しそうに話してるレーニャには言えない



「あ、来年の夏は
ユーヤこっちにいないもんね…
外国にいるんだった」



暗い部屋に花火みたいに
レーニャの声が消えていった



レーニャの夢

俺の夢



「ユーヤ…私、眠くなっちゃった
おやすみ」



「あー…うん…
寝よっか…おやすみ…」



本当はずっと一緒にいたいのに
一緒にいれない俺とレーニャ



俺との妄想デートを話すレーニャは
すごく楽しそうだった



きっと

夢は妄想のまま終わる



夢物語は
目が覚めたら…