「お嬢さんを俺にください!」


「うるせんだよ!」

「キャー!ちょっとやめてよ!」



また隣の部屋の音が聞こえてきた



「私達、うるさかったかな?」



「いや、また喧嘩じゃね?」



「大丈夫かな?」



レーニャが背伸びして
ベランダから隣の部屋を見た



「レーニャ覗くなって…」



「シー!…あ…」



「なに?」



「ん?なんでもない
ちょっと暗くなってきたね
花火つづきしよ!」



7時を過ぎて
やっと空が暗くなってきた



パチパチパチパチ…



レーニャ、ホントに泊まるのかな?



パチパチパチパチ…


パチパチパチパチ…



花火の匂い



まだ夜になりきれてない温度



暑い空気がまとわりつく



レーニャの腕が俺の腕に触れた


思ったより冷たかった

俺が暑いのかな?



パチパチパチパチ…

パチパチパチパチ…



夏の夜

いろんな気持ちが混じり合う



パチパチパチパチ…

パチパチパチパチ…



「さっきね…」



花火の音にレーニャの声が重なる



「うん…」



「隣の人達、キスしてた」



ゴクン…



鈍く俺の喉が鳴った



「へー…」



パチパチパチパチ…



レーニャが
花火から俺に視線を移した



すぐ隣で目が合う



ドクン…



鳴ったらいけない音



「レーニャ、危ないから
花火ちゃんと見ろよ」



「終わったもん」



「じゃ、片付けて部屋入ろ」



「ヤダ…」



立ち上がろうとした俺の手を
レーニャが掴んだ



「レーニャ…?」



ベランダにまだ残る煙

腕に残るレーニャの冷たい肌の温度

レーニャに掴まれた手



ドクン…ドクン…ドクン…



胸の音が変



「ア……ン……好き……」



隣から聞こえる声



レーニャ

俺どーしたらいい?



俺はレーニャに掴まれた手を
握り返してもいいの?