「お嬢さんを俺にください!」


ドン!!!

バン!!!



「やめてよ!」

「うるせーな!オマエが悪いんだろ!」

「私、悪くないもん!」



隣からする音にレーニャが驚いた



「え、なに?」



「最近越してきた隣の大学生」



「喧嘩?」



「シー!
うん、よく喧嘩してる
窓空いてるから聞こえるんだよね」



このアパート、今時エアコンがない


ベランダの窓開けて扇風機


だから隣の音がよく聞こえる



「謝れよ!」

「ヤダ!謝んない!」

「オレは悪くないからな!」

「私も悪くない!」



どっちも悪いことにしろよ


あー、暑い



「レーニャも喧嘩とかするの?」



「ん?しないよ」



「へー…仲いんだ」



結局仲良しかよ



だって結婚するんだもんな



「…」



レーニャ、また答えないんだ



「音聞こえなくなったね」



「うん、仲直りしたんじゃね?」



いつもこのパターン



喧嘩のあと仲直りして

それから…



「ア…ヤ…ン…ア………………」



レーニャも聞こえてるよな?

気まずい



まだ昼間ですけど…



「私も喧嘩とかしてみたいな」



え、誰と?



「レーニャって兄弟いねーの?
兄弟喧嘩は?」



「お兄ちゃんいるけど
お兄ちゃんは昔から自由で
私のことなんか相手にしてないから
喧嘩にならなかった」



「そーなんだ
俺も弟と妹いるけど年が離れてるから
喧嘩とかしなかった」



「ユーヤ優しそうだもんね」



「そお?
レーニャ、俺と喧嘩してみる?」



「ユーヤと?
ハハ…楽しそう」



「笑っちゃダメだろ
喧嘩になんない」



「そっか…ハハハハ…」



レーニャといると楽しい



俺だってずっとここにいたいけど

レーニャにはいるじゃん
あの人が



俺が海外行こうと思ったのって
レーニャと距離を取ろうとしてるからなんだ