「お嬢さんを俺にください!」


まだ夜が明けきれてない白々した朝



大家さん起きてるかな?

顔見て行きたいけど
また今度来るね



ユーヤのアパートから
友達の家にスマホを取りに向かう



友達まで巻き込んで
みんなに嘘をついてユーヤに会いに行った

大家さん
私も不良かも



3月の朝はまだまだ寒い

はー…

白い息が空に登る



もぉさすがに雪は降ってこない



また雪が降ったら
私の記憶がなくなって

それでもユーヤのことは
全部憶えてて

ユーヤのことだけは
全部憶えてて

他のことは
ぜーんぶ忘れたい



いつか繋いでくれた手の温もりも

昨日掴まれた肩の感触も

忘れたくない



優しい記憶しか残らなくていい



春なんて来なくていい



ハクション!

今年も春がきた