Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

雪の真っ青だった顔は一瞬にして、怒りにより赤く染まる。目は血走り、激しく怒っていることが嫌でも伝わってくる。

雪は一人暮らしはせず、実家暮らしだ。実家で雪と両親、そして父方の祖母と一緒に暮らしている。だが、お金を稼いでいるのは雪とスーパーのレジ打ちをしている母親だけだ。

雪の父親は、雪が中学生の頃に脊椎の病気を患い、寝たきりになり介護が必要になった。そして、同時期に父方の祖母が認知症を発症したのだ。

「介護がいる人間が二人もいるせいで、私は高校卒業したら就職するしかなかった!周りの友達はみんな進学して、サークルやら合コンやらキラキラした生活をインスタに毎日投稿してんのに、私はジジイやババアや病人にこき使われてんのよ!?社会に不必要な人間を殺して何が悪いの?何がおかしいって言うのよ?私は間違ってない!私は正しいことをした!」

髪を掻きむしり、雪は泣き叫ぶ。桜士がいつ攻撃されてもいいように身構えると、雪はゆらりとこちらに目を向ける。