ナースステーションの一番前にある部屋は、認知機能が低下している危ない年配の人を集めている六人部屋で、まだ新人と見られる看護師と看護助手が一人の女性患者の寝ているベッドにいた。そのベッドの布団は血まみれである。
「もう〜!点滴抜いたのね!」
新人看護師ーーー武藤絵梨花(むとうえりか)はため息を吐きながら怒り、働き始めて五年目の看護助手である山村雪(やまむらゆき)が、「布団、新しいの持って来ます。シーツにも血が飛んでますので、シーツも変えますね」と言い、病室を出て行った。
「うおおおおおおお!!殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
患者が突然暴れ出し、「増田(ますだ)さん、落ち着いてください」と一花とヨハンは声をかけながら患者の手を押さえる。桜士も蹴り上げようと暴れる足を押さえた。絵梨花が「先生、すみません」と申し訳なさそうに謝る。
「よく点滴を自分で抜いてしまうんですか?」
桜士が訊ねると、「いえ」と絵梨花は首をすぐ横に振る。だが、入院生活が長引く中で元々診断されていたアルツハイマー型認知症がかなり進行してしまったようだ。
「もう〜!点滴抜いたのね!」
新人看護師ーーー武藤絵梨花(むとうえりか)はため息を吐きながら怒り、働き始めて五年目の看護助手である山村雪(やまむらゆき)が、「布団、新しいの持って来ます。シーツにも血が飛んでますので、シーツも変えますね」と言い、病室を出て行った。
「うおおおおおおお!!殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
患者が突然暴れ出し、「増田(ますだ)さん、落ち着いてください」と一花とヨハンは声をかけながら患者の手を押さえる。桜士も蹴り上げようと暴れる足を押さえた。絵梨花が「先生、すみません」と申し訳なさそうに謝る。
「よく点滴を自分で抜いてしまうんですか?」
桜士が訊ねると、「いえ」と絵梨花は首をすぐ横に振る。だが、入院生活が長引く中で元々診断されていたアルツハイマー型認知症がかなり進行してしまったようだ。

