「ッ!心停止!」

女性医師は素早く心肺蘇生を始める。速く強い胸骨圧迫を行い、時おりモニターに目を向ける。だが、モニターの心電図は動かない。

「AED持って来ました!」

看護師がAEDのパッドを取り付け、「離れて!」と言う。ボタンが押されて電流が流れる。だが、春男の心拍は戻らない。

「アドレナリン注射するぞ!」

「お願い!」

黒人の医師が春男にアドレナリンを投与し、女性の医師は懸命に心肺蘇生を続ける。時間だけが過ぎていった。

「胸骨圧迫、変わるよ」

「ありがとう」

黒人の医師と胸骨圧迫を交代し、女性の医師は再び春男の胸にAEDのパッドを取り付ける。もう一度ショックを与えるつもりだ。

「離れて!」

ボタンを押すと、また電流が流れて春男の体が動く。モニターに二人は目を向けた。心拍は戻っていない。

「胸骨圧迫、再開します!」

黒人の男性医師が再び胸骨圧迫を始め、女性の医師はアドレナリンを注射器に入れ、注射した。