「仁っ、ちょっとなっちゃん止めて」


「何事…?」


すぐに来いと呼ばれた場所まで来てみれば、髪を解いた後ろ頭に花をつけているカメコ。そして服にしがみつかれた一華が見えた。
……が、止めてと言う割に一華はカメコのことを抱きしめている。


ワンピースを着ている後ろ姿のカメコがどうなっているか、顔を見なくても大体想像はできた。


「ほとんどのスタッフちゃんもなっちゃんにやられちゃった」


「は?」


「ずっとありがとう、ありがとうって感謝されて、でも違う、これじゃ伝わらない…って離してくれないの。そんな必死な姿がもう可愛くってっ!」


あぁ〜…、なるほど。
それで一華のほうが離れられなくなったってわけか。


一華の説明で何となく理解した俺は、一華にしがみつき抱きしめられていたカメコの元に歩み寄る。


どっちにしたって男にとってこの店は居心地が悪すぎる。長居は無理だ。


「カメコ、もういいぞ。もう十分伝わってっから」


そう言って、一華からカメコを離すよう腕を引いた次の瞬間……