「えっと、何ちゃんかな?」


「あっ、み、蜜豆なち、です……!」


できるだけ大きな声で答える。
そうすると、ニコッと優しい笑顔を向けてくれる一華さん。


「じゃあ、なっちゃんか。よろしくね」


「!……はい…!」


一華さんも、私の異常を普通にしてくれる人。


(優しくて綺麗で、素敵だなあ……)


「いやぁ〜それにしても…、突然仁が私に荷物押し付けて血相変えて走ってくから、何事かと思っちゃった」


「荷物は元々一華のだろ」


「よっぽどなっちゃんのことが心配だったんだよ」


「…っ…!」


驚いて夕凪くんを見ると、眉間にシワを寄せ、目を背けていた。


「……この道の先、色々危ねぇし」


「ふふっ、素直じゃないね」


「るせぇな……そんなことより一華に頼みがあるんだけど」


「ん?なに?」


「右京には俺から連絡しとくから、こいつのこと可愛くしてくんねぇ?」


夕凪くんのその言葉に、私はわけがわからず何度か瞬きをした。────