夕凪くんがそれを読んでくれている間、私は学校で起こった出来事を、書いては消し、書いては消しを繰り返しながら文字を打ち込んでいく。
再び夕凪くんを待たせてしまったけど、なんとか打ち終え、それも彼のスマホに送った。
「あったこと全部教えてくれんのかよ……正直か」
スマホに向かってボソッと突っ込んでいる様子の夕凪くんを、ただただ見つめてしまう。
険しい顔をしたり、気難しい顔をしたり。
しかも毎朝マスクをつけていた夕凪くんの素顔が露わになっていて、初めて生で見ることができたことに心の中で拝んだ。
(ほんとに、カッコよすぎる……)
辺りは明るくなくなり、少し薄暗いのが丁度いい。
こんなところを白胡桃生に見つかってしまえば、きっと何かしらの処分を受けるに違いないけど。
それでも…この非日常な出来事が、まるで冒険に連れ出してもらえたみたいで、少しだけワクワクもしていた。
「そんな見てると見物料取んぞー」
「……っ!?ご、ごめ」
(こっそり見てたのに、バレてた……!)