夕凪くんの後ろをついて歩く。
私の歩幅に合わせてくれる夕凪くんは、やっぱりとても優しい人だと思った。


そして公園の端にあるテーブルベンチの、彼の斜め向かい側に座る。


どうやら夕凪くんは遅刻したから怒りに来たわけではなさそうで……
それならどうしてここまで来て、私のことを探していたのだろう?


「今朝俺といて、学校のヤツになんか言われなかった?」


「!…いえ、あ、いやっ」


(もしかして、それを気にして来てくれた……?)


そんな都合のいいことが頭をよぎり、邪念を消すように小さくフルフルと首を振る。
私は再びスマホを取り出した。


「う、うまく喋れないので、文字でもいいですか……っ?」


「じゃあ駅で打ってたやつ先に送って。そっち先読むから」


「…っ!」


(うぅっ、優しすぎる…どうしたって私には、夕凪くんが噂通りの人には思えないよ……)


今朝、駅のホームでスマホに書いたメモ画面をコピーして全文を送る。
私がずっと夕凪くんに、『ありがとう』と伝えたかったこと…その理由を。