ガタン、ゴトン……──


早朝。揺れる電車に乗り、私は白胡桃(しらくるみ)女子高校に通っている。


内気ですぐ緊張してしまう、人と話すのが苦手。
長い髪の毛はサイドで三つ編みにし、目が悪いのでメガネをかけないと遠くの表示や人の顔すら見分けがつかない。


地味でパッとせず、なんの取り柄もない。それが私、蜜豆(みつまめ)なち。


あの日……
電車で痴漢を目撃した日から、私は異次元高校生のことが気になって頭から離れず。
もしかしたらまた会えるのではないかと、朝の通学時間を頻繁に変え電車に乗り込んでは、彼のことを探していた。


帰りの電車でも、もしかしたら会えるかもしれないと、どこか期待しながら電車に乗った。


そんな日々が続き、もう会えないんだと諦めかけていた頃……。
ついに通勤通学ラッシュよりもだいぶ早めの時間帯に、再び彼の姿を見ることに成功し、胸がいっぱいになったのだ。


こんなことをして今度は私がストーカーとして捕まるかもしれない、と思いながらも。
どうしても止められなかった。


普段は持ち得ない行動力。
内気でビビリで、常に誰かの陰に隠れているような私が、こんな行動を起こすのは前代未聞である。


あの日からずっと私は…、自分にないものを持っている彼の堂々とした姿を見て憧れているんだと思う……──