冬の肌寒い今日。
朝から夕凪くんとでかめのホームセンターで買い物をしていた。


しかも夕凪くんの誕生日やり直しデートのはずが、なぜか私の買い物になっている。
既に彼の住む部屋に置く私専用の歯ブラシセットや、色違いのお揃いマグカップを買った。


「なち、もしかしてそれ買う気?」


夕凪くんは私のじっと見つめていたほうに目を向けている。


その先には、どっしりとディスプレイされた大きな虎のぬいぐるみがあった。


ぬいぐるみといってもそんな可愛いものではなく、威圧的でかっこいいと言ったほうが合っているだろう。
男の子の部屋に置かれていそうなリアルな虎だ。
私はそれが、買おうと決意した抱き枕代わりになるのではと考えていた。


「自分の部屋に置けるかなと……これすごいカッコいいです!」


「……あー、うん」


そう夕凪くんは納得したように答えると、簡単に私の手を握って歩き出す。


「夕凪くんっ?」


心臓がドキッとしてしまったことは、繋がれた手できっとバレバレだ。