「ねぇ!新一年生にすっごい可愛いカップルいるの知ってるっ!?」
「知らん、興味なし」
「あっ、待って!いたっ!いたいた!」
「いや興味ないって言ってんじゃん。ちょっとっ、引っ張んないでよ」
その女子大生二人が向かっていた視線の先から、楽しそうに話しながら歩いてくるカップルがいた。
見るからに美少女とイケメンのカップルだ。
その場は完全に二人の世界が出来上がっている。誰も近づけない。
「梅に、おかか……あと、シャケと昆布もいいかな〜?」
「たらこも追加な」
「夕凪くん、たらこも好き?」
「……わりと」
「ふふ、わかった。じゃあ多めに用意しよう〜……あ、そういえばこの間夕凪くんのとこに……────」
耳をすますと、おにぎりの具が聞こえてきた。それは謎の会話だった。