一華さんに待鳥公園から坂を登っていくと、そのまた奥に待鳥神社という小さな神社があると教えてもらった。
そこに夕凪くんはきっといる──と。
「……夕凪くん」
「カメコ、?なんで……」
階段の隅に座っていた、夕凪くんに向かって歩いていく。
「来んな」
「っ、」
その言葉に足が止まった。
「頼むわ……今俺気ぃ荒くて、本気で何すっかわかんねぇから。傷つけたく」
夕凪くんのどこか辛そうな声を無視するように、ジャリ、ジャリ……と再び私の足音が響く。
「おいっ」
拒否されてもいい。
怒られてもいい。
どんなことをされても、夕凪くんをひとりにしてはいけなかった。
それに私は、夕凪くんになら傷つけられてもかまわない。