「それから私は、なちのクラスに行かなくなった。私はなちのそばにいたかったけど、なちはそうじゃなかったんだと思ったら苦しくて、全然会いに行けなくなった……」


その声に感情が乗っているとすれば、後悔だろうか。俺には悔やんでいるように聞こえた。


「それで夏休みも終わってしばらくして…、文化祭が近づいた頃に、一人を取り囲む小さな集団が見えたの。人通りも少ないゴミ置き場の近くで」


「……っ、」


なんとなく、カメコの過去を想像してても、こうやって実際に聞かされるのは嫌な気分になるもんだな……


「その囲まれてたヤツが、カメコ……?」


そう聞けば、雛形は俺を見てひとつ頷く。


「聞こえてきたのはなちに対する暴言や、喋り方をバカにした笑い声……囲んでいたのは全員男子生徒だった。なちが持って行ったゴミをわざと破いて投げ捨てて……アイツらずっと、なちのこと虐めて楽しんでやがったの…!」


あの日感じた、恐怖で満ちるカメコの目。俺はその理由を完全に理解する。