「私となちはねー、中1の頃にクラスが一緒になって友達になったんだけど、中2に学年が上がるとクラスも離れちゃったの──」


雛形は注文したミートボールスパゲッティを頬張りながら話し始める。


俺達を前に緊張していたらしく、気が抜けた瞬間腹が減ったんだとか……たいして緊張してたようには見えなかったけどな。


「大体はさ、クラスも変われば同じクラスの子と一緒にいるっていうのが普通だと思うんだけど……それでも私はなちと一緒にいたかったから、お昼はなちのクラスまで食べに行ったりしてたわけ」


「え、それはうざくね?新しいクラスで友達作ったほうが絶対いいじゃん」


ヒデは注文したカルボナーラを食いながら返す。
これは飯を食いながら話したり聞いたりするようなことなのか?と思うが、口には出さなかった。


「そう。刈り上げの言う通り、しばらくして、なちが『もう来なくていいよ』って私に言ったの。クラスに仲良くなれそうな人がいるからって、笑顔で……」


そこで雛形のフォークを持つ手が止まる。湊人の隣で「刈り上げってなんだよ?」とヒデが不服そうに呟く。