「ケーキバイキング行っていいの?こんな状況で?」
「あら!どんな状況であれデートなんて決行よ!」
 ユキにおめかしをされているそこは昨日ユキに鍵を渡された場所。マイクだなんだと防音設備が整っている。何をしている場所なのかは教えてくれなかった。否、大和自身あんまり興味を持っていないために聞いていないだけなのだが。
「ふきゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 突然の奇声に驚いて振り向けば白髪の美少女が顔を赤面して顔を手で覆っていた。
「らい〜?何をそんなに……あり?」
「はぁくん先輩」
「あらやだ!ライライにはぁくんじゃない!どうしたのよ、こんな早くに」
「ゆゆゆゆユキちゃん!!!」
「ゆが多いわよ」
「そそそその」
「いやいや、なんでヤマちゃんこんなとこいるの?今日デートでしょ?」
 その言葉にライライと呼ばれた白髪の少女は隼人の方を勢いよく振り向く。
「ちょ、何?知り合いなの?」
「優ちゃんの彼女」
 今度はその言葉に大和の方を思いっきり振り向く。
「嘘でしょ!?なんで!?ズルくない?」
「ライライ、ちょっとうるさいわよ」
「ユキちゃんだってずるいと思うでしょ!?」
「いいじゃない、王子様とお姫様みたいで」
「ライライさん?」
「あぁ、この白髪のうるさいのは雷華って言って」
「はっ、はじめまして!!鈴木雷華って言います!!」
「鈴木ということははぁくん先輩の」
「そ、妹」
「はじめまして、雷華さん。私は千家大和と申します」
「……大和さん……そんな容姿なのに大和…」
 肩を震わせる雷華を心配して覗き込めば鼻血を出して涙を流していた。初対面でのその様子にどうしたものかと考える大和に対してユキも隼人も全く気にしなくていいという。
「……ギャップ、最高だね」
「ライライは中身が残念すぎるのよね」
「なんてったって三度の飯より女好きだからね」
「ぐふふふふ」
「笑い方がキモイ」
「で、あんたたち漫才しに来たんじゃないんでしょ」
「突然思い立ったけどヤマちゃんと出会えて今最高潮に上がった」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
「残念ながら実の兄でさえ分かんない」
「よし、できたわよ」
 話をしながらもちゃんと化粧と衣服のコーディネートをしてくれた。
「デートならこれを貸してあげるよ」
 隼人は腕につけていたバンクルを大和の腕に装着させる。
「ちょっと、ヤマちゃんは優ちゃんの恋人なのよ?」
「でも虫除けにはちょうどいい。だから終わったら返してね」
「いいんでしょうか?」
「ヤマちゃんヤマちゃん!!私も私も!!」
 今度は雷華が自分の耳につけていたカフを大和につけようとする。大和は小さな雷華に微笑んでその目の前にしゃがみこむ。
「甘いものは好きですか?」
「うん!」
「お借りしますね」
 抜群の破壊力に雷華は後ろに倒れ込んだ。