「本当にここにいるのか」
「そうですね、一応話はしておきましたよ」
 都内にある公立白波高校。とりあえず出迎えてきたのは校長らしい。会社で仕事してる方がまだ楽だな。校舎内を案内されて大和を見つけた。
「私とは限らないし気にしないようにしよう」
「見つけたぞ」
 その声にこちらを大和が向く。大和はそのまま顔色を変えることはない。
「どちら様でしょうか」
「今度は逃がさないっつったろ」
「私は存在をなかったことにと伝えたはずですが?」
「今日は一緒に来てもらうぞ」
 大和が俺の前までやってくる。だが次の瞬間、真逆の方向へダッシュした。は?いや、どういうことだ??
「まてこらっ!」
 とりあえずこれを逃がすわけにはいかない。だが足が速くみのがしてしまった。
「くそっ、どこいった」
「隼人!」
 ふと教室から声が聞こえその方へ向くと金髪の男が下へ顔をのぞかせていた。
「ほいよー」
「ヘルメット貸して」
 ヘルメットを投げた?なんで投げる必要がある?・・・まさか!!
「あとは任せて」
「助かる」
 慌ててその教室の窓から下をのぞけば男に手を引かれて駐輪場へ向かう大和の姿があった。
「あれ?お兄さん青陽のひとじゃない?」
「くそっ!にがすか!」
 慌てて下に降りるもすでにバイクにエンジンがかかっている。
「いくよ」
 大和を後ろへ乗せてバイクが発進した。
「くそっ!裏口なんて聞いてないぞ!」
 電話を早急に直樹へかける。
『にげられましたか?負け犬』
「おい!首切るぞ!」
『でも本当のことですよね。私の勝ちです。掛け金十倍ありがとうございます』
「まて何の話だ!いや、そうじゃなくてさっさと車を回せ!」
『もう遅いですよ。居場所不明なんでこちらまで歩いてきてください』
「いいから来いよ!!」
『えー・・・かしこまりました』
「素直に来い!」
『素直には行きたくありません。めんどくさい』
「おい!!」