🦝43



グレースの気持ちが、フローレンス
には乙女の様に感じられた。

「えっと、」
とフローレンスはリアを見た。
リアもジッとフローレンスを見て
何も言わなかった。


うら若き17歳の子娘になんの決断を
しろと?

しかも2人はピッタンコ
私の婚約者デスみたいに言ってる
態度を見れば

何も言えない🙊


見かねたスカーレットは
「オ、オ、オッオホホそうね
リア殿下の態度はフローレンスに
見せられる物じゃないわ
そんな仲良しこよしな風景」


「Σ(ㅇㅁㅇ;;)エッ…」
リアは慌ててグレースの腕を
引き抜こうとしたが

ガシッと両腕に捕まれ外れない!


「ハッキリしない男性に
大事なウチの子を預けられません

リア殿下、フローレンスは
引き取らせて頂きます!
お話は無かった事にしてちょうだい。
フローレンスは
私の屋敷に引き取って主人と
私の実家でフローレンスの
輿入れ先を検討致します。
まあ、ウチにずーっと居てくれても
いいし」

ニッコリ笑いながらも怒りの
こもった眼差しはリアをビビらせた。
もうフローレンスには、かかわるな
アンタがグレースを優先する
なら私にも考えがあるわよ
スミス夫人はそう言っている

夫人とフローレンスをこのまま
見送ればフローレンスとの未来は
消えてしまう。


「なんでこうなった!」
小さくリアが呟くと

「私、リア殿下を支えます
リア殿下に後悔させません。」
律儀にもグレースはそう言った。


「後悔?」
リアはグレースを上から見つめ
呟いた。

ロレンツオがフローレンスと肩を
並べスカーレット スミス夫人の後
を追うように歩き出す。


「俺が君と結婚しなければ
後悔する?って言うのか?」

「はい、後悔させません。」
グレースもリアを手放すものかと
益々握った腕を強く握る!


「💢離せ!」

「Σ(ŎдŎ|||)ノノえっ」

リアは静かに顔を顎から動か
し異様な目でグレースを見た!
「うっ」
グレースは絶句、見た事も無い氷の
様な目でリアが見てきたのだ

「ヒッ」


時計を見ると21時を回っていた
リアはフッと笑うと

「私の御役目終了です
グレース王女、今度の誕生日には良きお相手にエスコートしてもらって下さい」
そう言うとリアもフローレンスの
後を追った。
そんな騒ぎを聞きつけてハリーが
やって来た。

「どうされたのです?
なにか?」

グレース王女の目に涙が溜まっているのを見てハリーは

「あ、やっちまったか?」
目の先をスタスタスタと早足で
歩くリアを見て小さく呟いた。

グレース王女はもう28歳
父王が高齢だった事もあってか
結婚を意識していた。
リアを父王も気に入り自分もリアが
大好きになっていた。

ハリーはグッと唇を噛み締め
泣いているグレースを見て放っておけなかった。

リア殿下に比べたら容姿も背も
高くない、そんなハリーだったが
グレースの涙に打たれ蹲るグレース
に手を差し伸べ

「王女様、あちらに参りましょう
ここは人が多い」
そう言って足を踏ん張り
モデル並みのグレースを抱えあげようとしたがギグリ
と動けなくなった。

「アタタタタウッ」


「え!ウソッ」
そのまま固まったハリーを見て
グレースも責任を感じてしまった。

そんな雰囲気を感じ取ったハリーは

「い、いえいえ
コレはそのー違うんです
ま、前からイタッ(°д०॥)くくくてー
お気になさらズーズ!」


「クスッ優しいのですね!
担架をお願い!」
グレースがそう言ったら直ぐ
担架でハリーは病院へと運ばれた。


それから1週間ハリーは運ばれた
病院に入院した。

グレースは責任を感じてか毎日
忍びでお見舞いにやってきた。
ハリーは身分こそ無かったが
大学を首席で卒業し、勤勉で真面目
心優しく話も上手く
グレースの心は徐々に回復に向かった。



一方コチラは

「おはようございます。」

まだウダウダとベットの中を泳ぐ
リアにフローレンスが声をかける。

「ん?」
柔らかい銀色のメッシュの散りばめたブラウンの髪が少し方向を変える
グリーンのシーッの隙間から
黒い目が鋭さを増してくる。

呑気なスズメちゃんはリアの脱ぎ
散らした服を片付ける。

あの日リアは
スカーレットに走りより
寄り添い歩くフローレンスとロレンツオ
をベリッと引き離し
スカーレットに土下座謝罪した。

「わたくし基本、土下座する
人は信用しない様にしていま
す。」

冷たい目を見せるスカーレットは
ド迫力でリアを睨んだ

「わたくしが、あなたなら大丈夫
と言ったばかりにフローレンス
にも辛い思いをさせてしまいました。残念です夫にもそう
伝えますよキッ」

リアは何も言わず、いや言えず
グッとのめり込む様に頭を下げた。

「大伯母様、私・・」

「どうしたのフローレンス❓」

「私、」
と言うとロレンツオが肩を押して
前に進もうとしていた。
フローレンスは足を踏ん張り

「なんだか分からないけど
胸が」

「フローレンス、それは同情
と言うんだよ!」

「同情?同じ情け・・」

スカーレットは立ち止まり迎えに
来た車に乗った。

「大伯母さま」
スカーレットはフウッとため息を
つくととりあえず服を着替えま
しょうそしてもう一度ここに来て
彼がいたら考えます
あなたもワイン付で気持ち悪いで
しょう。

「コレはカケです。」

フローレンスは振り返りリアを見た
がまだ頭を下げていた。

「行きましょう。」
フローレンスはスカーレットの言葉
に同意した。

「あなたも乗りなさい
送りますよ。」

スカーレットの言葉にロレンツオ
も乗り込んだ。
それから2時間が過ぎた

「殿下、もう」
何人かの護衛がリアを説得する
そこにカールは居ない
カールは国の護衛の為午後から
ホースラデDーレーン国に帰っていた。
「カールがいてくれたら」
とリアは小さく呟いた。


項垂れ愕然とするリアの前に
1台の車が止まる。


降りてきたのはジーンズに赤いTシ
ャッにポニーテールの
フローレンスだった。




リアは頭をあげた。
「(≧ε≦๑)ブフッ」
フローレンスは吹き出した
なんとリアのデコちんが赤くなって
いたのだ!


「フ、フローレンス」
リアは飛び上がりフローレンスを
抱きしめて言った。

「や、柔らかい!」


「げ、げ、げ、くるしーい」
出鼻をくじかれたようなリアの
猛アピールにタジタジなフローレン


スカーレットはその姿を見て
フローレンスの気持ちもリアに
傾いていたのだとあきらめた。

車はリアとフローレンスを残し
ロレンツオを乗せて去って行った。

「ロレンツオ様、よろしいの?」
スカーレットはロレンツオの横顔に
問いかける。
「スミス夫人、私もあんな
リアを見たのは初めてです
俺なら直ぐ帰ったかも知れません」


スカーレットはロレンツオの髪を
撫でて

「ありがとう。
フローレンスより素敵な御令嬢を
探してあげますよ
楽しみにしてらっしゃいな」

スカーレットは最後の最後に
身を引いたロレンツオも
何となくフローレンスの気持ちが
分かったのかもしれないと
思った。
ロレンツオのお相手は必ず
素晴らしい女性を探すと
元気の無いロレンツオを
慰めながら決心した。