その時、私の目から一粒の涙が鼻の横を通ったことに気がついた。


それに気がついた途端....『プツン』と何かが切れたような気がした。

だんだんと視界が狭くなって、涙が滝のように次々と流れ始めた。


「ゔ...ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ....」


今まで私の行動が月葉をこんなにも傷つけていた。


私は....なんてことをしたのだろうか....余命宣告をされて一番辛いはずの月葉が....こんなにも強くなっているのに....

私は....私は....その現実から逃げてしまった。


「うわぁぁぁぁぁぁ....あぁぁぁぁ....ッヒック....っう...」


どんどん涙が出てくる...手で抑えても手の隙間から溢れるくらい.....


「っご....ごめ....ん...なさい....ぅ....ッヒック....ごめんなさい.....ごめんなさい....ごめんなさい....」


泣いても、謝っても....許されるはずがないのに...私は謝り続けることしかできない....


「ごめんなさい....ごめんなさ....」


フッと私の顔の横に風がかかった。


月葉が私に抱きついてきた....


「もういいよ瑠奈....十分....もう十分だよ....私の方こそ....瑠奈に辛い思いをさせてごめん....ごめんなさい....」


耳元で、その優しい声で....私をそっと支えるように月葉は言った。


「ゔ.....うわぁぁぁぁぁぁぁ」

「ゔわぁぁぁぁぁぁぁ」


病室で....私と月葉は床で抱き合いながら、泣いた。


「二人とも.....」


立って泣いていた輝羅も私たちの中に入ってきて、一緒に泣いた。


──ガラガラ


扉が開いて流がそっと病室から出ていったことに、私たちは気づいていなかった。