聖なる夜は我儘なプリンセスと

「……ん……千歳、の……」

「何?……実花子?」

僕は、眠っている実花子を覗き込んだ。

「……ばか……」

「あのね、寝ながら、僕に馬鹿なんて言うの実花子くらいなんだけど」

僕は、心底呆れながら、自分のコートを実花子のコートの上から重ねて掛けてやる。

「クリスマスか……どこ行こうかね」

強がっているだけで、本当は泣き虫で寂しがり屋の、手のかかるお姫様を眺めながら、僕は、さっき店内で聴いたクリスマスソングを思い出していた。