フリュヴェラ王国の王位継承者は、王女シュリズィエただ一人。彼女には、将来の王配に相応しい、レグラスという婚約者がいた。レグラスは冷静沈着で文武両道、優秀な侯爵令息だが、少しばかり感情表現に乏しく、そんな彼を貴族たちは『氷のようだ』と噂していた。

 ある日のこと、シュリズィエは父親と母親が新たな命を授かったことを知る。

 喜ぶシュリズィエだったが、聖女であり従姉妹のジェニュインから『生まれてくる子が男の子』なら、シュリズィエが女王になる道が無くなること、ひいてはレグラスが王配になれなくなる事実を突きつけられる。

『王配になれるならともかく、王女を嫁にするなんて重荷なだけ』だと言うジェニュイン。
 レグラスの幸せを想い、婚約破棄を目論むシュリズィエだったが――――?