愛したものを不幸にする――――代々そんな呪いを掛けられたカドガン公爵家の若き当主アンブラ。見目麗しく優秀だが、冷たく他者を寄せ付けない影のある男だ。

『君を愛することは無い』

 貴族の義務を果たすための政略結婚。没落寸前貴族であるハルリーを妻に迎え入れたその日、彼はそう宣言する。
 けれどハルリーは、どれだけ冷たくあしらおうと、アンブラを慕い、明るく振る舞い続ける。

『だって、わたくしがアンブラ様を愛してはいけない、とは言われていませんもの』

 呪いとの板挟みで苦しむアンブラ。明るく優しいハルリーに惹かれそうな己を必死で律し続ける。
 そんな時、アンブラの親友である伯爵リヒャルトが公爵邸へとやってきた。彼は『自分がハルリーにアプローチを掛ける』と請け負うのだが――――?