【エルベアト様、聞いてください。べーヴェル侯爵家の三男が、私のことをお嫁さんにしてくださるんですって! 私、とても幸せです――――】
部屋の真ん中には、描きかけのキャンバスが鎮座している。エルベアトが外に連れ出してくれた日に見た、地上の星の絵だ。彼への想いを込め、一筆一筆丁寧に、毎日描き続けている。
【次はいつお会いできますか? 早くあなたに会いたい――――】
「キーテ、少し良い?」
そこまで書いたその時、デルミーラがキーテに声を掛けた。
「婚約おめでとう。お茶を淹れたから、一緒に飲まない?」
彼女はいつもの様に、ティーセットを携えている。
キーテの心が落ち着くよう、デルミーラはいつもお茶を淹れてくれる。大きな行事の当日などは必ずだ。
「ありがとう、姉さま。もちろん戴くわ」
躊躇いなくティーカップを受け取り、口を付ける。デルミーラはその様子を、至極満足気に見届けた。
「まさか、あなたとエルベアト様が、結婚まで考えていたとは思わなかったわ」
困ったように首を傾げ、デルミーラはゆっくりと目を細める。
「普通は嫌がるでしょう? 病弱な妻では子を成せるか分からないし、体調を崩すたびに気を揉むことになるもの」
キーテの心に寄り添うようにして、デルミーラは言葉を重ねる。
部屋の真ん中には、描きかけのキャンバスが鎮座している。エルベアトが外に連れ出してくれた日に見た、地上の星の絵だ。彼への想いを込め、一筆一筆丁寧に、毎日描き続けている。
【次はいつお会いできますか? 早くあなたに会いたい――――】
「キーテ、少し良い?」
そこまで書いたその時、デルミーラがキーテに声を掛けた。
「婚約おめでとう。お茶を淹れたから、一緒に飲まない?」
彼女はいつもの様に、ティーセットを携えている。
キーテの心が落ち着くよう、デルミーラはいつもお茶を淹れてくれる。大きな行事の当日などは必ずだ。
「ありがとう、姉さま。もちろん戴くわ」
躊躇いなくティーカップを受け取り、口を付ける。デルミーラはその様子を、至極満足気に見届けた。
「まさか、あなたとエルベアト様が、結婚まで考えていたとは思わなかったわ」
困ったように首を傾げ、デルミーラはゆっくりと目を細める。
「普通は嫌がるでしょう? 病弱な妻では子を成せるか分からないし、体調を崩すたびに気を揉むことになるもの」
キーテの心に寄り添うようにして、デルミーラは言葉を重ねる。