「キーテが結婚だなんて…………いえ、エルベアト様は爵位を継ぐべきお方です! わたくしと結婚して、伯爵位を相続していただいた方が絶対良いと思いますの。
大体、どうしてエルベアト様がキーテを? ヒエロニムス伯爵家との繋がりが欲しいなら、姉であるわたくしの方が良い筈ですもの。きっと何かの間違いですわ」
段々と落ち着きを取り戻しながら、デルミーラはそう口にする。愛娘の言葉に、伯爵はうーーんと唸りながら首を傾げた。
(言わなきゃ……私の気持ち)
キーテは意を決して身を乗り出す。
「お父様、私はエルベアト様のお申し出を受け入れたいと思っています」
「キーテ!? 一体何を言っているの!?」
いつになくハッキリとした主張に、今度はデルミーラが面食らう。けれど、キーテは引かなかった。真っ直ぐに父親のことを見つめつつ、ゆっくり大きく息を吐く。
「私はエルベアト様のことが好きです。彼と結婚したいと思っています」
「なっ……な…………」
「分かった」
伯爵の返事は明確だった。穏やかに目を細めると、キーテの頭をポンと撫でる。
「最近は体調も良いようだし、先方もお前を望んでくれている。すぐに返事をしよう」
「ありがとうございますっ」
天にも舞い上がりそうな心地のまま、キーテは微笑む。
父が使者を送るのを見届けると、すぐに部屋へと戻り、ペンを握った。
大体、どうしてエルベアト様がキーテを? ヒエロニムス伯爵家との繋がりが欲しいなら、姉であるわたくしの方が良い筈ですもの。きっと何かの間違いですわ」
段々と落ち着きを取り戻しながら、デルミーラはそう口にする。愛娘の言葉に、伯爵はうーーんと唸りながら首を傾げた。
(言わなきゃ……私の気持ち)
キーテは意を決して身を乗り出す。
「お父様、私はエルベアト様のお申し出を受け入れたいと思っています」
「キーテ!? 一体何を言っているの!?」
いつになくハッキリとした主張に、今度はデルミーラが面食らう。けれど、キーテは引かなかった。真っ直ぐに父親のことを見つめつつ、ゆっくり大きく息を吐く。
「私はエルベアト様のことが好きです。彼と結婚したいと思っています」
「なっ……な…………」
「分かった」
伯爵の返事は明確だった。穏やかに目を細めると、キーテの頭をポンと撫でる。
「最近は体調も良いようだし、先方もお前を望んでくれている。すぐに返事をしよう」
「ありがとうございますっ」
天にも舞い上がりそうな心地のまま、キーテは微笑む。
父が使者を送るのを見届けると、すぐに部屋へと戻り、ペンを握った。