だけど、翌年からお父様は、わたしを王都に連れて行かなくなった。
 なんで? って尋ねてみても、『お前は知らなくて良い』の一点張り。

 お陰でわたしは、ソーちゃんと会うことができなくなってしまった。彼に政略結婚の提案をすることも。


(会いたいなぁ)


 心からそう思うのに、ソーちゃんの領地は物凄く遠い。簡単に会いに行ける距離じゃないし、当然お父様にも止められてしまった。

 仕方がないから、わたしはソーちゃんに手紙を送ってみた。
 だけど、返事は一通も返って来なくて。
 毎日侍女達にわたし宛の手紙を確認し、落胆する。

 もしかしたらソーちゃんは、わたしが側に居るのを物凄く迷惑に思っていたのかもしれない。優しいから嫌だって言えなかっただけで。


 だけど、このまま終わるわけにはいかない。

 我が国の貴族の子女は、十六歳になったら王都にある学園に集められ、学ぶことを義務付けられている。
 十六歳になったら、わたしはソーちゃんと再会できる。
 なんなら、毎日会える。


 ソーちゃんに再会できるその日のために、わたしは自分磨きを始めた。
 いつかソーちゃんに『わたしで良いよ』って言って貰える日を夢見て。