***
初めに足を運んだ先は公爵家――――アザゼルの家だ。
「いらっしゃい、サラちゃん」
サラを出迎えてくれたのは、彼の3歳年上の姉と、母親の二人だった。
「お久しぶりです。おばさま、お姉さま」
幼い頃から互いの家を行き来しているため、サラはアザゼルの家族との仲も良好だ。二人は今日も、ニコニコと好意的な笑顔を浮かべている。
(……う~~ん、どうなんだろう)
未だ二人とも、アザゼルの変貌を把握していないのだろうか。普段と全く変わらない応対で、サラは少なからず戸惑いを覚える。
「折角来てくれたのにごめんなさいね。アザゼルは今出かけているのよ?」
そう言ってアザゼルの姉――――ラファエラがティーポットを準備してくれた。
(知ってます……!とは、言えないんだけど)
丁重に礼を言いながら、サラはじっとラファエラたちの様子を観察する。
いつもと変わらぬ屋敷の様子、楽し気にお茶を淹れるラファエラ達の好意的な雰囲気から察するに、どうやらアザゼルの様子がおかしくなったのはつい先ほど、サラと会う直前のことらしい。つまり、婚約破棄についてもアザゼルが勝手に話をしているだけで、公爵家は何も把握していないし、承諾もしていないことになる。
(良かった!これで先手を打てる)
サラはキリリと居住まいを正してから、小さく咳ばらいをした。
初めに足を運んだ先は公爵家――――アザゼルの家だ。
「いらっしゃい、サラちゃん」
サラを出迎えてくれたのは、彼の3歳年上の姉と、母親の二人だった。
「お久しぶりです。おばさま、お姉さま」
幼い頃から互いの家を行き来しているため、サラはアザゼルの家族との仲も良好だ。二人は今日も、ニコニコと好意的な笑顔を浮かべている。
(……う~~ん、どうなんだろう)
未だ二人とも、アザゼルの変貌を把握していないのだろうか。普段と全く変わらない応対で、サラは少なからず戸惑いを覚える。
「折角来てくれたのにごめんなさいね。アザゼルは今出かけているのよ?」
そう言ってアザゼルの姉――――ラファエラがティーポットを準備してくれた。
(知ってます……!とは、言えないんだけど)
丁重に礼を言いながら、サラはじっとラファエラたちの様子を観察する。
いつもと変わらぬ屋敷の様子、楽し気にお茶を淹れるラファエラ達の好意的な雰囲気から察するに、どうやらアザゼルの様子がおかしくなったのはつい先ほど、サラと会う直前のことらしい。つまり、婚約破棄についてもアザゼルが勝手に話をしているだけで、公爵家は何も把握していないし、承諾もしていないことになる。
(良かった!これで先手を打てる)
サラはキリリと居住まいを正してから、小さく咳ばらいをした。



