翌日はわたしもキース様もお休みだった。見習い魔女のわたしたちには週に二度お休みがある。けれど、騎士であるキース様のお休みは不定期な上に少なくて、こうして二人そろって休日って日は向こう一か月近くない。薬の効果を持続させたくて、思い切ってデートに誘ったわたしを、キース様は優しく受け入れてくれた。


(キスはダメだったのに)


 そう思うけど、休みの日でもキース様に会えることが、わたしは嬉しくて堪らなかった。


「ハナ、お待たせ」


 そう言ってキース様はわたしのことを抱き締めてくれる。それだけでもヤバいのに、私服のキース様を見るのは初めてで、わたしの心臓はお祭り状態だった。


(印象、違う! めちゃくちゃカッコいい!)


 普段の品行方正な着こなしとは違って、キース様は若者らしいラフな服装に身を包んでいる。少し開いた胸元とか、裾の長めの上着とか、ダボっとしたズボンとか、普段のきっちりした騎士装束とのギャップがすごい。でも、それがとっても似合っていて、わたしの瞳は釘付けだ。


「……似合ってる?」


 キース様がそんなことを尋ねるから、わたしはコクコクッて大きく頷いた。


(やっぱり薬を作って良かった)


 昨日と正反対のことを思いながら、わたしはキース様と手を繋ぐ。
 だって、薬が無かったら、こんな風にキース様と手を繋ぐ日なんて訪れなかった。彼の私服姿を見ることなんて、一生叶わなかったに違いない。


「ハナも、すっごく可愛いよ」


 キース様はそう言って穏やかに微笑んでくれた。底知れない幸福感に、心が震えた。