ジェットコースターに乗って、今から動き出すっていうときに重大なことに気付いた。

そう言えば……八神くん、絶叫系大丈夫だったかな?

聞かないで来ちゃったけど……。


と、心配していた私だったけど……。

久しぶりに来る遊園地にテンションが上がり、ご飯を食べ、いくつもの乗り物に乗り……。


「大丈夫かよ」


限界が来たのは私だった……。


…ご飯食べた後にアップダウンが激しい乗り物に乗るんじゃなかった……。


「……はぁ……」

ベンチに座って深呼吸をする。

「なんか飲み物買ってくるからここにいろよ」

「…ごめんなさい…八神くん」

パタパタとかけ去っていく足音を目をつぶって聞く。

……子ども過ぎる……。

はしゃぎすぎて具合悪くなるとか……。

付き合ってくれた八神くんにも申し訳ない……。


涼しい風に吹かれて大分落ち着いてきた頃―――……。


「きみ、ひとり?」

聞き覚えのない声がして顔を上げれば、いかにもチャラそうな風貌の男の人が2人。


「……し、知り合いと来てますっ……!」

「でも今はひとりだよね?俺たちと暇つぶし、しよーよ」

怪しい笑顔を浮かべながら手を掴まれる。

その瞬間、ゾワリと鳥肌がたち、この手が嫌だと思った。

大きくて、ゴツゴツしてて……八神くんと変わらない。

でも……冷たい。

「…離してください…っ」

必死に手を離してもらおうとしてもビクともしない。

「大丈夫だって」

有無を言わせないほどの強い力。