チラッと八神くんの顔を見れば、ムスッとしているような表情が目に入る。


「だってお前、俺のこと嫌いだろ。まぁ、昨日あんなこと言ったし、それは当たり前なんだけど……。それにお前……
男のこと苦手だろ。だから無理にやる必要なんてねーよ」


驚いて思わず目を見開いた。

昨日といい、今といい私ってそんなに分かりやすいんだろうか?

確かに私は男の人が苦手だ。

正確に言えば、今まで男の人と真正面から関わってきたことがないから、接し方が分からない。

だから、男の人と話すのは緊張するし、ましてやゲームだからといって抱き合えるほどの勇気もない。


八神くんは、凄い。

会ってたった1日で話してもない事をどんどん当ててくる。

……凄すぎる。


でも……


「わ、私別に八神くんのことは嫌いじゃないです」

「……え?」

「確かに、昨日のことは凄くショックだったけど、私がこの学校に入学してきて理由は合ってるし、夢の見すぎかな?って自分でも心のどこかでは分かってたし…」


彼の言葉は的を射ている。


「八神くんのことは苦手だけど、特別八神くんのことだけを苦手ってわけじゃなくて……。八神くんの言った通り、私男の人が苦手で……。どう接していいか分からないんです」


真っ直ぐ八神くんの目を見て言えば、彼はスッと私から顔を逸らした。


……嫌われた?

いや、そもそも私って八神くんに嫌われてるよね?


「…だったら俺で練習すればいいんじゃね?」


「……え?」


「少なくとも1年間はペアなわけだし…。一緒にいる時間が嫌でも長くなるんだし、俺で男の人に慣れていけばいいんじゃん?」


昨日は、お金が目当てで入学してきた冷たくて最低な男子だと思った。


「とりあえず、いきなりこのゲームはハードル高いと思うから、質問コーナーってことで」


そう言って風船をヘアピンでパンパンと割り始めた八神くん。

割った風船から出てきた質問にお互いが答える。

ただの質問コーナーみたいになったけど、八神くんのことをたくさん知れた。


好きな食べ物はお肉。
好きな色は青。
趣味はゲーム。


好きなものから嫌いなもの……いろいろ話した。


気付けば楽しくなっていて、八神くんを見れば、彼は私を見てちょっと笑っていた。

その笑顔を見た瞬間―――……

ドキッと今まで感じた事のない鼓動を感じた……。


第一印象は最悪。

でも、その印象がちょっと変わった初めてのゲームだった……。