舌打ちしながらロック画面の通知内容を確認する。
「……あいつぶっ倒れたってさ。これから生活どうなるの?」
「えっ、悠真さんが?」
 さっきまで強い口調だった望海がいつもののんびりしたモードに戻る。
「ほら見て」
 結花は通知の内容を見せると「それ早く行った方がいいよ」と望海は気を遣う。
「これで働けなくなったらどうしよう! 私働かないといけないの? 絶対嫌!」
 お小遣い減額か。
 ほんと役に立たないやつだ。
 もし夫が働けなくなったら、贅沢できなくなっちゃう!
 これから欲しい物が沢山ある。
 母との海外旅行に、年明けにはデパートのブランド服の福袋セールがあるし、ママ友とのランチ会もある。
 もしかして今度は私が働かないといけないの?
 そんなの嫌! 結婚の時の約束を破ってる!
 世界一可愛い私は働かなくていいの。
 中学の時から夢見た「大学卒業してそのまま結婚して専業主婦」のステータスがなくなってしまう!
 これでずっと周りにマウントとってた。
 結花ちゃんは世界一可愛いから何しても許されるの。
 散財しても、家のことやらなくても、嫌がらせをしてもぜーんぶ許されるの。
 いつも母がそういっているんだから。