とどのつまり、川口と結花は利害の一致と言えばいいのか、ターゲットが一緒だから結託した。
 それが自作自演の誘拐・脅迫事件、そして和野ノワの暴露だった。
 和野ノワこと堀内は川口の手下だから。
 そもそも川口は、稲本勤の秘書兼家の手伝いをするのは表向きの顔で、裏では10代から20代の子を中心に"バイト紹介"と称して、詐欺や脅迫をやらせていた――いわゆる闇バイトの斡旋をしていた。
 川口は指示役、堀内はその側近のような存在、曽田と神牧は実行犯と言えばいいのか、スケープゴートのような扱いだった。
 堀内は和野ノワとして、炎上した一般人暴露やその家へ突撃する動画を2年前からやっていたが、なかなか登録者、視聴者数が伸びなかった。すぐにアカウント通報され、消えてしまうから。
 それでもほとぼり冷めた頃に、同じようにして繰り返してきた。
 女性支援団体『ねむの木』の補助金を不正に受け取ってる疑惑を真相突き止め、話題になった。
これも川口の手伝いによるものだった。
『麦の家』の代表の大河内瑠衣(おおこうちるい)は、貧困に悩んだり、性的被害に悩む女性の支援をしているが、ネット上で過激なフェミニストな発言することから、嫌われていた。
 同性からもあんまり評判よろしくなく、盲目的な支持者や野次馬で囲まれていた。