あの人の自作自演に関わった男性達は、どこまで本当のことを言っているのか分からない。
 自己保身のために言ってるのかもしれないし、本当にあの人に見切りをつけているのかもしれない。
 これは警察の捜査に任せるしかない。

 憔悴する陽鞠に庄吾が肩をよせてなだめる。
「とにかく俺もお前とはやり直すつもりないし、陽鞠の言うとおり、関わらないでくれ。ホームレスになろうが、警察のお世話になろうが、知らん」 
「た、頼むから、お・ね・が・い?」
 結花のぶりっ子口調に悠真は眉をしかめ、曽田はうわぁと顔を引きつらせた。
「そ、そんなぁー……ひ、ひどいよぉー」
 結花の体の力が抜けて、床に座り込んだ。
 大げさに泣く姿がリビングに響いて、一同が不愉快そうに顔をしかめた。
 
 ゆいちゃん悪くないのに! 言うこと聞かないみんなが悪いの! 被害者なの!

 悲劇のヒロインモードで訴える結花を無視し、曽田と神牧は琥珀と翡翠を稲本夫妻のもとへ連れて行った。
「本当に申し訳ございませんでした!」
 曽田と神牧は深々と頭を下げた。
 稲本夫妻と悠真は一瞥した。
「君たちがやったことは許されるものではない。正後は警察に正直に話してください」
 庄吾の目は鋭く、まるで曽田と神牧を固まらせるような勢いがあった。