あの人の過去の炎上発言が未だに残っているが、それを知ったらそういう単語は出てこない。
 野次馬だろうか? 私や夫のことが嫌いなひと?

 子供達がガムテープでぐるぐる巻きにされてる姿見て、言葉が出なかった。
 
 もしこれでマスコミで取り上げられたら、ますます私達のプライベートが広まる。
 秘密主義なのを分かった上での嫌がらせ?

 まさか、これも親の因果は子に報いるってこと?
 あの人が色々な人に、嫌がらせした結果、娘がこのようなことに遭ってるって聞いたら、喜ぶ人もいるだろう。
 考えすぎ? もうあの人の過去のトラブルが原因で、まだ報いを受けろというの?!
 
「だめだ、嫌なことばっか考えちゃう」
 陽鞠は邪念を振り払うように深く呼吸する。

 親の報い云々で考えてる所は、私もある意味”被害者根性気質”なんだと思う。そう言われても仕方ない。
 呉松結花の娘という呪縛は一生消えないし、それが事実である。
 でも、あの人のような人間にならないとずっと決めてる。
 だから同級生から逃げるように、都内へ進学した。
 だれも事情の知らない人間と一緒にいるだけで、楽だった。素敵な人に出会えた。

 ――なんとしてでも、子供達を取り返す。強い母親にならなきゃ。堂々としてなきゃ。