昨日の動画配信を受けて、庄吾が父の(つとむ)に相談して、しばらく稲本家の別荘に子供達を避難させる形にした。
 好奇の目にさらされるリスクが高いから。
 それに今の話を聞いたらますますその気持ちが強まった。

 今日朝起きた時にスマホチェックしたら、勤がぎっくり腰になり、母の智子(ともこ)も付き添いで病院にいくので、代わりに川口(かわぐち)が10時に迎えに来るときた。

 庄吾は父親の文章に違和感を覚えた。
 こんなかたっくるしい文面じゃないと。
 もしこのような時になったら、代わりにいつだれが来ると具体的に書く。
 誰が来ると聞いてもこれ以上返事がなかった。
 いつもなら父の代わりに川口という男性のお手伝いが来る。
 
 川口は年齢が40前ぐらいで、背は庄吾より少し低い172cmの坊主頭の細身の男性。
 口数が少なく、目つきも少し鋭いので、子供達と妻が怖がっていた。しかし中身は優しいあんちゃんという感じだ。
 父曰く、しっかり仕事やってくれてるそうだ。
 彼が来るならこちらも安心だ。
 
「えー、ゆいちゃんとの約束は?」
「それは断らないとね。しばらく遊べないって」
 遊べないと聞いて、琥珀と翡翠は口元をへの字に下げた。
「そんな不満そうになされても、知らない人にゲーム機買って貰って許す親がどこにいるんだ!」