「これどうしたんだ?」
「ゆいちゃんに買って貰ったの! おとといに!」
 庄吾の質問に琥珀が誇らしげにゲーム機を見せる。
「ゆいちゃんって誰だ? どこの家の人だ?」
「うーんと場所忘れた。家行ったことあるけど、お姫様みたいなお家だった!」 
「ゆいちゃんの連絡先は分かる?」
「うーん知らないや」
「うん、僕も知らない」

 琥珀と翡翠は目を視線にそらした。

「……そうか、ちょっとお礼を言いたいから連絡先を知りたいな」
「じーじもそう思うな。どんな人か知りたいから、パパとママに教えてあげて」
「でさ、ゆいちゃんさ、すっごい綺麗なひとなんだよ?」
「そうそう。ママとゆうじーじと離ればなれになって寂しいってさ。こんな優しい人なのに……」
 質問に答えない子供達に庄吾は「パパが聞いたこと答えてないじゃん」と強い口調で窘める。
「ゆいちゃん寂しいから、今度家呼んで……ママ?」
 能面のような顔の陽鞠に翡翠が首をかしげる。
「ママどうしたの? パパもゆうじーじも困った顔してんじゃん」
「……悪い。ゆいちゃんはうちに呼べないよ。部屋汚いし、パパとママは忙しいからさ。それでな、これからすいとはくは、つとむじーじの家にいくよ」