痛みがじんじんする。ちょっと大げさに痛がってたら、仕事サボれるよね?
 倒れたままでいようと決めた結花は、起き上がれなーいとアピールした。
 吉岡は「ゆっくりたてるか」と尋ねるが、結花はゆっくり立ち上がって椅子に座った。
 一方、郡山は顔が興奮して鼻息が荒かった。

「お前も落ち着け。気持ちは分かるから」
「そうでしょ? 痛いんだけど」
 話に割り込んだ結花に、吉岡は「呉松さんじゃない」と声をあげた。
「琴平さん、悪い、社長呼んできてくれますか?」
「は、はい……」
 琴平は急ぎ足で社長である浅沼をチャレンジ枠の部屋に呼んできた。
「あ、ひびきくーん、おねがーい、ゆいちゃん助けてーぇ。腰いたいのぉ」
 浅沼が入ってくるなり、結花は下の名前で呼んで「この人がいじめてきたぁ」と郡山の方を指差した。
 浅沼は恐怖心と警戒心を持ちながら、結花と郡山と吉岡に聞いた。
 それぞれヒアリングしている最中にも、結花は「私悪くない、被害者だ」とわめいて、吉岡が黙ってくれと何度も注意した。
「そうですか……ほんと、呉松さん昔っから変わってませんね」
 浅沼は大きくため息をついた。