「服部さん、今の言葉取り消せないですよ。『人権剥奪』とか『死ねばいいのに』って。他もそうですけど。呉松さんがこれで自殺したらどうするの?」
 丸岡が服部に対抗するかのように強い口調で嗜めるが、彼女は舌打ちして「そうならそこまでの人間でしょ。言われたくないなら、さっさと仕事して成果見せたら?」と切り捨てた。

 彼女が自殺したら困るのは周りの人間だ。
 おそらく連絡取れない娘に情報が来るだろう。 
 娘としたらとんだ迷惑だろう。
 彼女には慰謝料の支払いと母親が残した借金がある。
 全部返済、支払い済ましてもないのに死なれたら、そのお鉢が娘に回ってくる。
彼女は娘と連絡取れないと言っていたので、おそらく着信拒否や住所を第三者から教えられないようにされているのだろう。
 彼女の過去のことは本人から、社長からもちらほら聞いているし、少し前にネットで炎上した人と悪い意味で有名になっていた。
 社長がかつて彼女からいじめられてたと言っていて、容赦なく扱うと言っていた。
 もしかして復讐の意味で、彼女をあえて"採用させた"のだろう。
 服部が言い方きついのも分かった上で、ここに”異動させた”のだろう。
 今まで散々社長や他の人が言って来たことを、今度はいわれる番だとわからせるために。