「多分まみりん、ひーちゃんのお母さんと面識があって、なにか恨みでもあるのかしらね。だからといって、ひーちゃんが辛く当たられる筋合いはないと思うけど」
「うん、そう思う。正直私、保護者面談にお母さん呼びたくないの」
 大きなため息を付きながら、机の中に入っているクリアファイルから、一枚の紙を取り出す。
 三者面談のお知らせだ。
 十二月十四日の火曜日、昼の一時から教室で保護者面談しますというお知らせだ。
 この時期になると、生徒たちは午前中で授業終了で帰れるが、陽鞠は部活があるので、その合間を縫って保護者面談に出席する。
 陽鞠としては正直結花に出席してほしくないと思っている。
 二人が喧嘩してしまうからだ。
 最初の家庭訪問で結花は、赤澤が同級生であることを知ると、近況報告から、結婚の有無を聞いたり、自分が大学卒業してすぐに結婚して、二十代前半で子どもが生まれたので、若いママとして誇りに思ってるとか、働かなくていいから悠々自適な生活をしているけど、そちらは大変そうですねとか、結婚してるのか、相手はどこの誰で、何の仕事をしているのか、うちは社長だから、先生より格上など、マウントを取るような話ばかりしていた。途中から、結花の母周子も参戦した。