「まぁ? それじゃー、だめねぇ。警察のお世話になって、うちの名前に傷ついちゃう。弁護士に相談かしら?」
「そんなことしなくていい。こいつを甘やかすだけだ。そもそもこいつの存在が恥の上塗りだろ?」
 強い口調で責められ、周子は「それもそうよねぇ」と頬をあてる。
「確かに聞いてたら、金銭トラブルや盗みは変わってないねぇ。しかもよりによって田先先生のとこでしょ? あそこ、奥さんの登美子さんがむかーし、うちの会社で働いてなかったかしら? あの人に少し香関わりがあってねぇ。生意気なことに、政治家先生とご結婚されたからねぇ。随分いけずね。うちのゆいちゃんに意地悪するなんて。調子に乗ってたからじゃないかしら?」
 うふふと笑う周子に良輔の全身に鳥肌が立った。 
「バカいってんじゃね。調子に乗ってたのは結花だろ? お金はこいつ自身で払わせる。お母さん、こいつがやったこと分かってんのか?!」
「いーじゃん、おかーさん払ってくれるの?! ゆいちゃんのお金全然ないから、ついでに30万ちょーだい。りょうにいもいちいち真面目でウザいんだけど」
 兄妹喧嘩が始まりそうな雰囲気な中、周子は「りょうちゃん黙ってちょうだい」と切り捨てる。