世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

 夫は娘が珍しく自分のやりたいことを言ったんだから、応援してやれと。
 だから条件として部活関係の出費は全て夫が行うようにさせた。
 私は賛成したわけじゃないから。
 でも無関心な親とレッテルを貼られるのも嫌なので、コンクールがある時は家族で見に行っている。
 他の保護者達にマウント取れなくなっちゃうし。
「そうか、コンクールねぇ。大変だねぇ……」
「そうよ! 私大変なのよ! 朝の準備やんないといけないし! 早く起きないといけないから!」
 机をどんどん叩きながら母と柿本さんに訴える。
「陽鞠お嬢様頑張ってるじゃないですか。吹奏楽部ってだいたいどこも上下関係や身内でのルールがとても厳しいですからね。うちの息子と娘もそれでよく悩んでいました」
「あんたのとこ息子吹奏楽だったの?」
「ええ。確かトランペットやってました」
「へぇー。男子が吹奏楽入るなんて珍しいわね。女子目当てでしょ?」
 柿本さんの話に鼻で笑う。彼女が少しムッとした顔をしても気にしない。
「そんなことありませんでしたよ。むしろ女子から理不尽な嫌がらせを受けることがよくありました。トランペットって、吹奏楽の花形ですからね。それでもって男子がやるとなると、余計でしょうね」