「はい、依田です。どうされました? お義兄さん?」
『いきなり連絡してごめん。うちの馬鹿妹が離婚されて追い出されたんだ。多分そっちにメッセージとか来てるんじゃないか?』
 良輔の声はどこか弾んでいる。
「……はい。そうです……」

 今気づきましたよと大きなため息をついて返す。
 内容を見てげんなりしたと同時に、相変わらずだなと安心した。むしろもうあの自己中で、世界一自分可愛い、大好き、周りに大切にされるべきというメンタルは変わらないだろう。もう40代だし。
 
 ――(すずめ)百まで踊り忘れず。

 悠真の頭に結花にぴったりなことわざが頭に出てきた。

『やっぱそうか。昨日うちにあいつの再婚相手の家族から連絡があった』 

 ――以前は瀬ノ上さんとこでお世話になってたみたいで、家のことは色々やってたみたいだけど……いざ蓋を開けてみたら、生活も家族への態度は悪いわ、言葉遣いも幼すぎて、話しててイライラする。

 ――色々注意したものの、とにかく自分が被害者でいないと嫌で。その注意も彼女にとっては暴言なんだって。

 ――瀬ノ上さんとこでも、真面目にやってるフリを演じ続けただけだった。裕福な家にまた玉の輿するために。