だってゆいちゃんは世界一可愛いんだから。
 何したって許されるの。
 みーんなゆいちゃんの言うことを聞いて当然なの。
 両親も夫も義理の両親もお手伝いさん達も。

 みんなたまに断る時があるけど、なんだかんだ私がゴネれば言うことを聞いてくれる。
 子どもの頃からそれが当たり前だった。
 異性にはぶりっ子モードでおねだり。
 あっさり聞いてくれるから、それが当たり前だった。
 なにかトラブルに発展しても、実家の名前を出せばあっさり引いてくれる。
 夫もそうだ。少し強く出たりぶりっ子でなーんでも言うことを聞いてくれる。
 惚れた弱みもあるだろう。
 地味そうな夫が世界一可愛い私と結婚なんてそもそも不釣り合いだ。ありがたく思わなきゃ。


 ――私は周りの人の優しさに甘え続ける。

 ――それがいずれ通用しなくなる時が来るかもしれない。その足音が聞こえてくる。