まくし立てるように結花は話す。周囲を見渡すが、誰も同意しなかった。
「おー、自爆してくれたか。ありがとさん。やっぱりお前やってたんだな」
 家族からじろじろ見られ、結花は言いたい言葉を出すために口を早く動かした。

 やばい、自爆してしまった。
 てかみんなにバレてる? 百円ごときでなんでそんなに騒ぐの? なに? ここそんなに貧乏なの?
 子供達もお小遣い減って騒いでる意味がわかんないし。
 この家が裕福な家で、あいつが議員の息子で、専業主婦になって結婚していいというからしてやったのに、いざ蓋を開ければあいつは働かないし。子供達は冷たいし、稼ぎ頭である義理両親もいつまで議員やってくれるか分からないし。次の選挙にも出て貰わないと、生活出来ない。ワンチャンあいつに議員をやってもらえれば、議員の嫁という箔がついて、周りを見返すことが出来るのに!!
 なーんでゆいちゃんが働かないといけないの?

 ――ゆいちゃんは世界一可愛いから、働くなんて可哀想よ。嫉妬でいじめられるかもしれないから。

 ――ゆいちゃんはいくつになってもお姫様で、みんなに可愛がられるのよ。だからなーんにもしなくていい。身の回りのことは他の人にやってもらいなさい。

 母からそう言われて生きてきたのに! なんで?