実家に電話したら、母が久しぶりに出た。
「お母さん? ゆいちゃん追い出されたの」
『まぁ? ひどいわねぇ。お母さんもお父さんと良輔に厳しくされて好き勝手できないの』
 母の声が少し弾んでいる。夫いや、元夫の悪口は母の大好物の話題だからと思ってたら、母の愚痴が始まった。
 父と兄夫婦が母に厳しく接してるって。
 私とのやり取りは必要最低限のみ。買い物は父と一緒に。金銭管理は兄夫婦。以前みたいにはできないと。
「ねぇ、帰っていい?」
『ごめんねぇー。今日は遅いからさ……待って、良輔が……』
 兄が出ると言われた瞬間嫌な予感が脳裏に浮かぶ。また怒られるのかな。
『結花、聞いた。お前親として本当に最低なことしてくれたな。悠真くんの最後の情けを台無しにしたのは、お前自身だ。《《自業自得》》だ。《《被害者》》だと思うな。冠婚葬祭以外連絡するな。いいな? お前が野垂れ死のうが知ったこっちゃない』
 兄から再び実家と関わるな宣言に結花はひどいよ、やめて、お家に帰りたいと繰り返す。
『知らん。お前が撒いた種だろ? それにな、もうすぐ息子が帰省するから、お前のための部屋はない。以上』
 一方的に話すだけ話して、結花は肩を落とす。
 夫と娘にそして実家にも捨てられた。