アプリと連動してくれるタイプのロボット掃除機だが、結花が欲しがって買ったにも関わらず、使い方を知らずに、説明書とにらめっこして設定した。
 汚れ仕事をほとんどしたことがなかった結花にとって、家の掃除は重労働だった。
 悠真やお手伝いさん達がいなくなってから、少しずつ教えてもらってやった結果だ。
「ほら、出来てるから食べて。冬野菜のカレーよ。ほうれん草と大根と牛肉の」
 ダイニングテーブルには、3人分のカレーが並んである。
 結花が座ってから、向かいには悠真と陽鞠が並ぶ。
「ゆうちゃん、隣座ってよー」
 上目使いでアピールするが、悠真はいいよと遠慮する。
 結花は肩を落として頂きますと声をかけた。
 なんで座ってくれないの? 私、1人じゃん!
 口先をとがらせてから一口つけた。
「美味しいー!!」
 両手で頬を当ててアピールする結花に対して、2人は黙って食事を進める。
「ね、美味しいでしょ? ゆいちゃんが頑張って作ったのよー」
 前のめりで声を弾ませながら2人に感想を聞く。
 その目は期待に満ちあふれていた。
 美味しいと答えさせるための圧力をかけて。
 その瞬間陽鞠の手が止まった。
「ちょっと黙っててくれる? さっきからうるさいんだけど。その声耳障り」