世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

 結花はタッパーにはいったおかずを深い丸皿にうつしてレンチンする。ついでにレトルトの白ごはんも一緒にする。
 呉松家の冷蔵庫はお手伝いさん達が交代で作ったおかずが入ったタッパーでいっぱいだ。それを日替わりで毎日出す。つまり結花はレンチンして出すだけ。
「はい、どうぞ」
「ありがとーね」
 悠真はナスと豚肉の味噌いためを口にする。
 美味しい。頑張ったら自分でも作れそうと思う。
 結花自身で作ったものではないと知って以来、お手伝いさん達に負担をかけてなんとなく申し訳ないと思う。
「チャンネル変えていい?」
 悠真はリモコンで4チャンネルに変える。
 いつも楽しみにしているクイズ番組だ。
 仕事をしてからは中々リアタイ視聴が出来ず、ネット配信ばかりだ。
 久しぶりに家に帰って見れる。
 出演ドラマ対抗で、医療ドラマ、警察ドラマ、恋愛ドラマのチームで戦う。1チーム5人だ。
『では問題! 花札の10月の札で鹿がそっぽを……』
 司会者が問題を読み終える前に悠真は「シカト」とボソっと答える。
「えーっ、本当なの?」
「うん。割と有名な問題だからね。あとこの問題のパターンで、鹿と一緒に描かれている花の名前は何でしょうがある。答えはもみじ」
 得意げに話す悠真に対して、結花は「ふーん」とつまらなさそうに聞く。