世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

 耳の奥まで届く誰だか分からない囁き。
「よ、依田さんは以前より少しずつ頑張ってますし、もう少し様子見させてください。それに彼女の担任がやったことは営業妨害ですよ? 勤め先の学校に連絡した方がいいのでは」
 学校の先生が生徒の親の勤め先にわざわざ来て、親は過去にこんなことやらかしてました、絶対なにかやらかしますよと大きい声で言ってくるのは、どれだけ暇なんだろうと。やめさせるかどうかなんて、こっちが決めることで、余計なお世話というものだ。
「悪いけど、いくら依田さんが頑張ろうとも信用できない。過去に浮気や同級生いじめてた人が、やり直そうとしているのを褒めたり、反省してますなんて信用できない。真面目な人は評価されないんだから。被害者としてはムカつく」
「いいか? 最初の印象が悪かった人が良い方向に変わることなんてまずない。調子に乗るな」
 野崎はあごを引いてあざ笑う。
 この目の前にいる店長も私の不幸を願っている。
 それは最初の態度が悪かったからだ。
 確かにここで働くのも、おばちゃん達と混じってやるのが屈辱だった。
 男性スタッフ達に私のぶりっこが通用しないこともよく分かった。
 尾澤さんが来てから、同性のスタッフから褒められる機会が増えた。休憩時に話しかけてもらえる人が増えた。